行政書士開業のQ&A

行政書士は地方で開業して安定収入は得られるのか?

地方で開業する場合の不安については、毎年相談を受けます。

人口の少ない小さな町で開業すると、安定した収入が手に入らないのではないか。
全国を視野に入れて考えた方がいいのか。

ここではそんな質問に、私なりにお答えしていきます。

地方と大都市にはメリットもデメリットもある

私は開業して5年くらいまで、東北から九州まで、あちこちで勉強会を開催し、講師依頼も受けました。
たくさんの行政書士の方とお会いして感じた地方と都市の違いは、実はほんの少しだけです。行政書士の業界が保守的なこともあり、地方も都市も、そこまで雰囲気は変わらないと思います。

例えば「売上」の話で言うと、「そこまで大きく稼ぎたいわけじゃない」とか、「売上よりも社会貢献が重要」と言う人が多いのは、地方も都市も変わらないように思います。
起業精神よりも、社会貢献を重視している人が多い印象は、地方も都市も変わらないでしょう。

これが、売上が安定せず事業が継続しない原因なのかもしれないとも思います。

毎年いただく質問、「安定収入が得られるか不安」ですが、不安を解消するためには、安定した売上を手に入れるしかありません。
安定した売上は、地方でも都市でも手に入れることは出来ます。重要なのは、地域ではなく、やり方だと思います。

人口の多い少ないは、一見、お客様の数に関係するように思われます。
ところが、人口が多い場合は、その分、行政書士も多いです。
行政書士だけでなく、コンサルを業とする人たちが、行政書士の仕事に入り込んでいて、当然、競争が起こります。

競争が起こると、間違いなく価格が下がり始めます。
「うちの方が安いですよ」という売り方が始まると、価格はどんどん下がって行きます。
実際、地方では10万くらいの許認可が、都内では5万以下になっていることもあります。そうなると、地方の1件が、都内では2件取らないと同じ売上にはなりません。

また、ホームページの反応については、地方の人の方が圧倒的に良いです。

私が開催しているホームページ講座で作成した行政書士の方は全国に広がっていますが、地方の方は、作って1ヶ月後には問合せが入ることも珍しくありません。
地方の行政書士の方が、ホームページをはじめとするネット集客に懐疑的だからです。

しかも、都内の家賃は、地方の倍以上します。
そう考えると、地方だから安定しないということはありませんし、都市には都市の悩みがあります。

ゴールを決めるとやるべき行動が見えてくる

開業していないと開業のイメージがどうしても具体的になりませんが、漠然とした不安に悩んでも、解決は難しいです。
できるだけ具体的に考えられるように、自分がどういう事務所をつくりたいのか、どういう働き方をしたいのか、ゴールはどこに設定したいのか、1年後、3年後、5年後、10年後を書き出してみてください。

1人で働きたいのか、チームで動きたいのかだけでも、動き方が変わってくるでしょう。
年間売上を1,000万にしたいのか、500万にしたいのかでも、計画の立て方が変わってきます。
誰のために働きたいのかを考えて行くと、行政書士だけでなく、他にもやってみたい事業が出てくるかもしれません。
最終的にはどうなりたいのか、一度しっかりと書き出して考えてみましょう。

地方か、都市か、安定するのか、しないのかと、漠然と考えてみても答えは出来ません。
次のことを具体的に考え、日々修正して進めていきましょう。

  • 地方で安定するために、まずは年間売上いくらを目指すのか。
  • そのためには、月いくら稼ぐのか。
  • そのためには、何の仕事をいくらで何件受ければいいのか。
  • 仕事を受けるためにする行動(営業)は何か。
  • この場合、コストはいくらかけられるのか。
  • 赤字の場合、どうやって埋めるのか。
  • 黒字になるタイミングは、何年後なのか。

1つ1つ、具体的に考えて、書き出して、現実を見つめて行きましょう。分からないことも、細かく具体的に考えて行くと、少しずつ数字が見えて来るものです。

どこで開業しても、何で開業しても、最初からうまく行くことはなかなかありません。
最初の1、2年をどう耐え忍ぶのか、資金面、精神面で考えておくことも必要です。

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