実務の勉強法

実務の勉強法【はじめての受任をどうこなすか】

行政書士のはじめての仕事はどうこなすのか

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悩む男性

何も経験がないのに、仕事が来たらどうしたらいいんだろう?

開業する人の悩みでよく聞くのが、「仕事が来てもこなせるのか心配」というものです。
行政書士の場合、ほとんどの人が未経験で開業するため、実務のイメージができず、悩むのも当然です。

はじめて仕事を受任したら

開業前や開業したばかりの行政書士の方によく聞かれるのが、初めて仕事を受けた場合、どうやってこなしたのか?という質問です。
そこでこの記事では、はじめての受任をどうこなすのかについて解説します。

官公署のホームページと書籍で調べる

私が開業した頃、業務について調べると言っても、なかなか難しかったのですが、今は、行政のサイトがかなり整備され、書式や書き方見本等、ちょっと調べればたくさん出て来ます。
ネットの情報は間違っているものもありますが、行政のサイトであれば問題ありません。安心して調べることができるでしょう。

例えば、私の場合、開業一年目に依頼されたのが、遺産分割協議書、車庫証明、会社設立書類、障害福祉サービス施設指定申請で、二年目には、飲食店営業許可の依頼を受けました。
遺産分割協議書については、自分の身内を含め、以前経験したことがあったので、ある程度調べればわかりました。
他は、ネットで行政のサイトを中心に調べ、書籍も購入しました。

今は、行政のサイトだけでも、ある程度こなせそうな気がします。それくらい内容が充実していると思います。
例えば、車庫証明でしたら次のサイトが参考になるでしょう。
手続きの手順も、書式も、こちらのサイトでわかりますので、行政のサイトがどのような解説をしているのかを知るためにも、ぜひ一度目を通してみてください。

警視庁 保管場所証明申請手続
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_tetsuzuki/jidousha_syomei.html

飲食店営業許可でしたら、保健所のサイトになります。
例として港区のものを挙げておきます。他の地域でも同じようなサイトがありますので、ご自分の地域についても調べてみてください。

港区 飲食店等の営業許可手続きの流れ
https://www.city.minato.tokyo.jp/shokuhinkouiki/kuse/egyokyoka/tetsuzuki/inshoku/shinki.html

港区 食品営業許可 申請書等
https://www.city.minato.tokyo.jp/shokuhinkouiki/kuse/egyokyoka/tetsuzuki/shokuhin.html

同様に、会社設立でしたら、法務省や法務局のサイトに書式等がありますし、障害福祉サービス施設指定申請でしたら、各都道府県、政令指定都市の障害福祉課等のサイトに、手続きや書式が詳しく掲載されています。

それに加えて、会社設立なら会社法、障害福祉サービス施設指定申請なら障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に目を通しておく必要があります。

また、関連する条例なども、実際に実務になると目を通す必要が出てくるでしょう。

依頼されたらという仮定で勉強しても、意外と頭に入って来なかったり、調べてもピンと来ないものです。依頼されてから、役所を行き来しながら調べて行くと、思ったよりも理解できるかもしれません。とは言え、何もわからないところから仕事を受けるのは、やはり不安ですよね。

専門の行政書士と仲良くなる

自分1人で仕事をこなすのが不安な場合は、やはりその仕事を専門としている行政書士の先輩にお願いするとか、一緒にやってもらうとか、アドバイスをいただきながら進めて行くといいでしょう。ただし、みんながみんな、優しく教えてくれるわけではありません。

開業すれば、みなさんはプロですから、先輩とは言え、多くの人は対等に扱うあまり、厳しいことを言うかもしれません。そこで凹んでいては、先に進めません。
まずは勉強と割り切って、先輩に合わせて進めて行くのも1つの方法です。

先輩行政書士と仲良くなれると良いのですが、人間ですから、相性もあるでしょう。
私のように、誰とでも仲良くなれるわけではない人間には、ちょっと厳しい場になるかもしれないです。

私自身、開業直後は積極的に先輩行政書士と連絡を取り、どんなに遠くても事務所まで挨拶に伺い、実務についてお話を伺えないかお願いしました。
その結果、がっかりした出来事もありました。

そうかと思えば、素晴らしい出会いにつながる可能性もあります。素晴らしい先輩行政書士と出会えたら、その出会いは大切にしましょう。その仕事が、自分の運命の仕事になるかもしれません。

勉強会やセミナーに参加する

本や官公署のホームページを見てもピンと来ない。先輩行政書士の話を聞いて、事例と一緒に学びたい。そう考える人も多いと思います。(私もそうでした!)

ベテランの行政書士と仲良くなれる人は、直接話を聞いてみるのもおすすめですが、忙しい先生に時間を取ってもらうのは、なかなか気が引けます。直接話を聞くにしても、いきなりアポを取るのではなく、例えば支部会のような集まりや、行政書士が開催する勉強会などに参加するといいでしょう。

支部によっては、勉強会を開催しているところもあります。
ただし、内容が偏っていることも多いと思います。広い業務範囲を勉強したい場合、自分で探しながら参加することになるでしょう。

どの勉強会が良いのか?と聞かれることがあります。これについては、ご自分で体験してみないとわからないかもしれません。講師との相性もあるでしょうし、内容についても、知りたいことは人それぞれです。必要経費と考え、いくつか参加してみると、選び方もわかって来るかもしれません。

勉強会の料金についても、様々です。数千円のものもあれば、100万近いものもあるようです。それぞれ内容や目的が違うはずなので、主催者の考えや内容を吟味した上で参加しましょう。

勉強会についても、書籍同様、申請が通る方法を教えてくれるものではありません。
申請は、お客様の状況があり、行政の対応があり、担当者がいます。同じ状況というのはないに等しいので、その都度微調整が必要になるでしょう。それが経験となり、知識となります。

同期の勉強会の注意点

同期で集まって勉強会を開く場合もあるでしょう。 お金をかけず、仲間同士で経験や知恵を持ち寄るのは悪いことではありませんが、わからない人たちが集まっても、正解は出ないかもしれません。

同期のつながりは、その後の協力やモチベーション維持に欠かせないものになるでしょう。 大切なつながりですが、開業年が浅いうちは、同期だけの勉強会では不安は解消されないはずです。
先輩行政書士とのつながりや、先輩行政書士がいる勉強会への参加も検討してみるといいでしょう。

実務経験がないのに仕事を依頼された時の対処法

開業一年目に受ける仕事は、ほとんどが初めて経験する業務になります。経験がないまま仕事をこなすことになりますから、プレッシャーもあるでしょう。
性格にもよりますが、ネガティブに考える傾向にある人にとっては、ストレスも大きいはずです。

実務経験がない状態で仕事を依頼された場合は、実務の学び方で紹介した通り、書籍や官公署のホームページで調べ、役所の担当者や先輩行政書士に聞きながらこなして行くのが一般的でしょう。

よく、成功する人に必要なのはコミュニケーション能力だと聞きますが、これは、ひとりで軌道に乗せるのは難しい現実を物語っています。
私も、今でこそ誰にも会わずに、ひとりで自由に仕事をしていますが、開業3年目までは、たくさんの人に会いました。
1年目なんて、1ヶ月100人以上の人に会おうと決め、毎月130人以上の人と名刺交換したものです。
これがストレスで、ひとりで仕事をしよう!と、心に誓いました。

安心してください! 人を頼らないと仕事ができないのは最初だけです。仕事を覚えていくうちに、ひとりで自由にやって行けます。
最初を乗り越えて、自由を手に入れてください。

私が初めて受任した仕事は、知り合いからの遺産分割協議書の作成でした。調べながらなんとかこなしましたが、実務以上に大変なことがあると気づかされました。
初めての受任で何があったのか、どうこなしたのか、包み隠さず動画にまとめましたので、よろしければご覧ください。

最初は大変ですが、3年目くらいになるとメイン業務が出来て来るはずです。
そこからは、1、2年目のようには苦労しないはずですから、開業したばかりの行政書士さんには、ぜひ優しくしてあげてください。
そういう行政書士が増えると、もっと良い業界になると思います。

また、最初は不安だった実務も、仕事がなかなか取れないと、今度は仕事をどうやって取ればいいのか、という悩みに変わって来るはずです。
まだ依頼される前の実務に悩む前に、仕事につながる営業集客や仕事を依頼されるしくみ作りにも取り組んで行きましょう。

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