実務の勉強法

行政書士の仕事の範囲【怖い業際に気をつけよう!!】

仕事には範囲があります!【怖い業際】

開業すると、業際という言葉を耳にすることになるでしょう。かなり重要な問題になりますので、自分自身でも、しっかり調べておきしょう。
業際とは、一般的には異なる事業分野にまたがることを言います。

士業の業務範囲は法令に規定されていて、これを業際といいます。各士業の領域がどこまでなのか、境界線を越えていないか、これが長年の業際問題として存在しています。
行政書士の業務については、行政書士法に記されています。行政書士法も含め、次の法令には必ず目を通しておきましょう。

  • 行政書士法
  • 行政書士法施行規則
  • 行政書士法に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則
  • 行政書士法施行細則

また、他士業の業務についても、知っておきましょう。
行政書士の業務と他士業の業務を両方知ることで、各士業の領域が初めて明確になるはずです。

弁護士

弁護士については、弁護士法第3条に、次のように記されています。

第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。

2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。

また、非弁という言葉も、開業すると耳にするはずです。
弁護士ではないものが、弁護士業務をすることを指します。
行政書士も、非弁行為で訴えられるケースがありますので、注意したいですね。

これについては、弁護士法第72条に次のように記されています。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない

簡単に解説すると、行政書士は争い事には関われません。法律相談ももちろんできません。
すでに書く内容が決まっている書類について、正しい書式で作成するのが行政書士の仕事と考えるといいでしょう。

司法書士

また、非弁行為以上に問題になるのが、登記です。
登記は、ご存知の通り、司法書士の仕事です。行政書士はできません。

会社設立に必要な定款や議事録を作成し、あとはお客様自身に登記をお願いするスタイルを取っている行政書士もいるようですが、登記申請書の作成は行政書士にはできませんので、注意したいところです。SNSでもよく問題になっていますね。

日本行政書士会連合会(日行連)のホームページには、行政書士の仕事として「会社設立」という文言がありますが、司法書士から見ると、会社設立=登記なので、行政書士の仕事ではないそうです。
この辺の常識が、開業まもない行政書士にはわからないことも多く、SNSで叩かれてしまうこともあるようなので、注意しましょう。

社労士

社労士の仕事については、社会保険労務士法第2条に記されています。
この中で「別表第一」に33の法律が挙げられています。この法律については、社労士の仕事とされているので、一度目を通しておくことをおすすめします。

例えば、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)や介護保険法に基づくものは、社労士の仕事です。
また、就業規則を社労士の仕事とするのか、行政書士も作成できるのかには議論があり、明確な見解は出ていません。

その他

その他、行政書士は会計記帳はできますが、確定申告等は税理士の仕事になります。確定申告について一般の人に教えることはできません。
また、行政書士は知的財産権分野にも取り組めますが、取り組む際は、弁理士との業際についてもチェックしておきましょう。

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